癌ステージⅣを5年生きて 39

散骨の風ディレクター KYOKO

直腸と子宮手術

思っていたよりも早く直腸等の手術をする事になった。病院の日程で、空いた日が出来たのだろう。4月17日の入院が決まった。大腸外科の先生も偶然苗字が同じ金子学先生だった。学先生は、肝胆膵外科の金子順一先生とは対照的に無口で、聞かなければあまりしゃべらず、ゆったりと落ち着いた方である。外来の時など、予約していても2時間位待たされ、診察5分と言う感じだ。

今回も個室を希望したが、空きがなく2人部屋の廊下側になった。東大病院の場合、それぞれが掛かる科によって何階の北側南側と決まっていて、その部屋割などは師長さんが決める。今回は10階南側で眺めが良いが、やはり窓側のベッドから埋まってしまう。

人工肛門

私は、手術日まで前回と同じように検査を受け、呼吸の訓練をした。最初の手術であった椎間板ヘルニアの時は、関東労災病院だったが、輸血を必要とした場合の為に自分の血を少しずつ貯めていた。結局使わないで済んだが、ここではそんな事はしなかった。私は自分の血の方が安心だと思ったのだが。因みに私はO型で夫はA型だ。手術前日に麻酔科、大腸外科、女性科の各先生から説明があった。最初に肥大筋腫のある子宮と卵巣を女性科で取り、引き続き大腸外科と交代して直腸のガンを取る。12時間位掛かる手術だ。場合によっては人口肛門になるかも知れないと言われたが、絶対に嫌だった。しかし、拒めば手術をして貰えない。私の母は人工膀胱だったが愚痴は言わなかった。人工肛門も慣れれば大した事は無いと言う人もいた。前に放送大学のサマースクールで、大勢が集まっている教室で授業前に挙手し、「すみません人口肛門なので宜しくお願いします」と言っていた高齢女性がいた。私は分からなかったが、臭いが出るのだろうか、音がするのか。私もそれが運命なら仕方が無いが、私の人生は変わりそうな気がした。

美人の女医さん

夫も週に1度東大の皮膚科に通っていた。大腸癌の後の感染症で、お腹からの膿が出続け、傷口のケアをして貰っていた。毎週先生が違うそうだが、皮膚科の先生は美人が多いと言う。私もそうだろうと思っていた。女子は皮膚科志望が多いと思う。レザー治療など美容的な事もするから、女子医大卒業生などで集まって皮膚科クリニックを開いていたりする。裕福なお嬢様で医大に進む人は美人が多いという偏見を私は持っている。

痩せるといい男

手術中、家族はずっと待合室か連絡の取れる病院内に居なければならない。夫は自分の病気も抱え、仕事も忙しく申し訳なくて仕方がない気持ちでいっぱいだ。それでも夫は、最近少しずつ太って来て元に戻りつつあった。私と離れて暮らしていた間に10㎏以上痩せて、少し男前になっていたのに、彼がいつも行く玄米弁当の店に一緒に行った時には、弁当屋のおばさんたちに「太りましたね」と言われていた。結婚した時もそうだった。スリムだった北田さんは、一緒になってあっという間に太った。

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