風の中の私 8

──やっぱり懲りない書く事は──

愛すべき猫、ゾウさん

ゾウさんは、茶トラでお腹が白の特大オス猫です。やはり10㎏を越えているでしょう。猫さんのダイエットはとても難しいのです。ダイエットフードを好むのは、なぜか太っていない猫です。ゾウさんもそんなに沢山食べている訳ではないのですが、部屋の中に居るので、どうしても運動不足です。本当はゾウさんではなく、ディノ蔵と言う名前が有りました。私たちの好きなテレビドラマ全米人気№1の「NCIS」の前半の准主人公トニ―・ディノッゾから取ったのです。主人公のギブスでは、あまりにも恐れ多いので、2番手のちょっとおどけ者の彼の名にしました。でも、あまりにも太り過ぎたので、ただのゾウさんになりました。

家のマンションの駐車場で、みんなに餌をねだっているのを保護したのですが、いつどこから来たのか不明で痩せていました。ところが保護してから暫くして、とんでも無い物を見てしまいました。
横須賀の私たちが良く利用するプリントショップの店頭にLサイズでしたが、ゾウさんの写真が飾ってあったのです。私たちはびっくりし、顔を見合わせ、息を飲みました。正(まさ)しくうちのマンションのベランダで取られたゾウさんの写真でした。間違い有りません。一応、店員さんに「この写真はどうしたのですか」と聞くと、「スタッフの子が持って来たんです」と言っていました。もしかして迷子だったのかしらとも思いましたが、何となく嫌な気がしました。

次からその写真は、もう有りませんでした。いろいろな事を考えました。引っ越しの時に、どこかへ行っていて連れて行けなかったのか。どちらにしても飼っていたのなら、探すはずです。マンションの掲示版に張り紙を出して、管理人さんにも頼んでいくでしょう。訳が有って飼えなくなったのに相違有りません。ペット可で、ほとんどの人が犬か猫を飼っているので、このマンションなら、きっと管理人さんか優しい人が面倒を見てくれると思ったのでしょう。その置いて行った人も辛くて悩んだ結果なのだと思います。

それにしてもゾウさんは、しばらく裏山などをさ迷っていたのではないかと思います。大分痩せてお腹を空かせていましたから。でも、管理人さんも他の有志の人もミーちゃんと呼んで、竹輪だのチーズだのいろいろな餌持って来ていました。建物の隙間に寝床を作ってお水を置いている人もいました。私たちはその頃、ゾウさんの出(で)臍(べそ)が心配でした。そのまま固まってしまうと良くないのです。それにグリちゃんを亡くして、夫は雄で人懐こいゾウさんを欲しそうでした。それで家で引き取り、ヘルニアと去勢手術をして飼ったのです。
もう7年一緒に居ますが、本当に愛情深い可愛い猫です。わがままで甘ったれで、私の事をとても好きなのが良く分かります。いつも側に居たいのです。でも、人前で露骨に甘えるのは、雄の沽券に関わると思っているのか、遠巻きにいつも私を見ています。時には、2人きりに成れる場所に誘います。2人きりになると途端に態度が変わります。お腹を見せて遠慮なく甘えます。どうしてもSORAが甘えっ子で赤ちゃんみたいなので、SORAを優先してしまうと、ちょっと離れてそれを見ています。SORAさんの次でいいですと言う感じです。ゾウさんは死んだ時雨ちゃんにもいつも優しく、顔を舐め合っては、パンチを受けていました。夫もゾウさんが好きで、大好きとか可愛い奴などといっても、態度に出さないので、「ゾウさん好きだよ、遊びに来て」と言っても、餌を上げないし、構ってあげないから、膝にスリっとしかしてもらえません。猫たちのトイレの掃除はしているのに。夫は他の努力はしないで、成果を期待するので、猫さんには通じませんね。細かな気遣いなしには、何でも気を引けません。頑張ってね。

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