お客様の声・風の声
2004年3月

2004/03/27 桜咲く、熱海の冷たい雨・・・
2004/03/26 菜種梅雨、束の間の雨上がり
2004/03/16 生前の笑顔が甦ったように・・・
2004/03/11 青空のSORA・・・11(SORAの手術)

2004年3月27日

桜咲く、熱海の冷たい雨・・・

 お彼岸のその日(3月20日)は、生憎の雨になってしまった。Yさんの希望は、富士山の見える海にご両親を一緒に還したいということだった。

 生前大学の先生をなさっていたYさんのお父様は、にわとりの研究で有名な方だったらしい。その散骨にあたっては、沢山の方が参加を望んでいらしたようだが、船の定員で12名に絞っていただいた。

 関西など地方からもいらっしゃるらしく、交通の便も良いところということで、熱海になった。大勢の方が集まれば、いろいろな意見が出る。最初は、富士山といえば、田子の浦という意見もあり、Yさんも大いに悩まれたようだ。

 母港浦賀から熱海までは、往復6時間は掛かり、うちの船で行ける限界に近い。相模湾横断は、外洋の航行であり、それだけにリスクが高い。ひたすら穏やかな天候を願ったが叶わず、早朝は小雨だったが、帰りには本降りとなり、風も強く、ちょっとした嵐だ。

 東京では雪も降ったという寒さに、助手のTさんは、手足が冷え切ってしまった。船長は、真冬と同じ重装備だったので、なんとか頑張っていたが、手袋はびしょ濡れで、凍えそうだった。

 それでも幸いYさんたちは、熱海から乗船、熱海沖での散骨だったので、雨は強かったが、真鶴半島の風下で波は左程でもなく、船酔いする人もなく無事、ご両親の散骨を終えることができた。但し、雨だとアッパーデッキの座席が使えないので、キャビンの中は少し窮屈で申し訳なかった。

 いろいろな場所から人が集まると、ホテルの予約などもあり、日にち優先になるので、多少天気が悪くても決行することになる。今年はお正月から、天気に恵まれていただけに、今回は本当にその意味では残念だった。

 厚い雲に覆われた熱海の海は、視界悪く、富士山は見えない。インストゥルメンタルの日本の歌が流れる中、ブルゴーニュの赤ワインで献杯、故人が好きだったオンシジウム他、デンドロニウムなど鮮やかな色の花々が、東伊豆の澄んだ水の色に映える。この時期は三浦半島の水もかなりきれいだが、此処まで来るとさらに水の透明度が際立つ。お別れの言葉が添えられたご遺骨の包みは、水底深く沈み、それぞれの思いだけが残された。

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2004年3月26日

菜種梅雨、束の間の雨上がり

 桜の開花が宣言されてから、気温は下がり天気も芳しくない。それでも三浦の野山は、次第に春色を濃くし、微妙な色のグラデーションが目にやさしい。

 延期になっていた合同散骨、昨日も雨、風が心配されたが、予報よりも状況は良く、二組の散骨と一組のメモリアルが行われた。

 お子様のいないKさんは、奥様を亡くされてお一人での参加だったが、病気とはいえ、突然の奥様のご逝去、それも52歳という若さでの旅立ちに、本当にお気の毒であった。配偶者を亡くされるということは、本当にお辛いことだと思うが、お宅にお邪魔したときにも、言い知れない火の消えたような寂しさが、ひしひしと伝わってきて、そのことが心から離れない。

 一人残された寂しさは本当にやるせなくて心中察してあまりある。もうそろそろ気晴らしに趣味の釣りを再開しようかなというKさん、まだまだ雨降りの日が続くと思うが、無理して頑張ったりせずに、淡々とそして悲しみを我慢せず過ごしてほしいと思う。彼のリクエストは、ピンク色の花と『いい日旅立ち』だった。

 Kさんとは対称的なMさんご一家は、三年前に91歳で亡くなられたお母様の散骨だった。いくつになっても母親がいなくなるのは淋しい。でも90歳までお元気だとそれなりにあきらめもつくのだと思う。リクエストは、季節の花とルイ・アームストロングの曲ということで、『この素晴らしき世界』をお掛けした。サッチモの曲はいつ聴いても、人間味が溢れ暖かい。自分が年をとるほどその良さが身に染みて感じられ、ほっとする歌声である。

 最後に、もう一組、去年旦那様を亡くされたM・Kさんは一周忌のメモリアルということで、息子さんとご主人の弟さんと三人で参加された。昨年はお天気に恵まれ、海も穏やかで、突然イルカがたくさん現れたりと、とても和やかな合同散骨だった。今年、同じ海域は若干波があり、天気も曇り空だったが、海の透明度は素晴らしかった。こちらで用意したバラの花に、ご持参された庭のお花を海に捧げ、ご主人の海と対峙なさった。

 一年間、本当にいろいろな思いがおありになったことと思うが、その思いをご主人にぶつけることが出来たであろうか。ダンスがお好きだったという旦那様のために、去年はワルツの曲をお掛けしたのだが、今年は、持参された新井満さんの『千の風になって』が流された。

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2004年3月16日

生前の笑顔が甦ったように・・・

 3月5日(木曜日)、合同散骨に委託(Iさんは、心臓病の持病があり、乗船出来ませんでした。)で、奥様(享年70歳)の散骨をされたIさんから、お手紙を頂きました。Iさんは独りぼっちになられ、病弱でもあり心配しています。承諾を得、掲載します。
 前略
 故人の散骨は長年の懸案でしたが、実現されたいま安堵と共に、わたつみの青きに散っていった白き骨片が、私の中で幾歳月をかけ透徹りゆくか、それを見守ることが、これからの私の責務と思っております。
 頂きました証明書と写真、さっそく家内に見せてやりました。生前の笑顔が甦ったように思われました。
 次は私の順ですが、生前契約については機会を得て、ご教示願えればと考えております。
 大変お世話になりました。色々と御配慮を賜り心よりお礼申し上げます。
                        草々

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2004年3月11日

青空のSORA・・・11(SORAの手術)

 グリの病気は、やはり少しずつ悪い方へ向かっていて、毎日打つインスリンの注射の量も増えている。最近、新しい薬も飲ませている。犬猫用は「ルンワン」というのだが、LR(ルンブルクスルベルス)というミミズから作った薬で、血栓の治療にかなり効果があり、糖尿病にも効果が出ているという。私たちは藁をもすがる思いで、朝晩飲ませているのだが。

 さて、SORAもそろそろ一人前。ついに避妊手術をしてきました。家の中だけにいて、外には行かないので、仔猫を産む心配はないのだが、発情期が始まり、その騒々しさは、今まで飼った猫の中でも一番だ。それに万が一外に間違って出てしまったらということも考えられなく無いから。

 普段は、もうすっかりのびのびと言うか、縦横無尽に、超特急のような速さで右から左、下から上と走りまわり、甘えたり、すねたり、不貞腐れたりと見ているだけも楽しく可愛いSORAだが、突然、野良猫風に変貌し、病院に連れて行くのは、一苦労だ。

 力も強くなり、すばしっこいから、捕まえても腕からするりと抜けて、そうなると捕まる気配に隠れて出てこなくなる。籠にいれても中で大騒ぎ、これでは、獣医さんも大変だと思いきや、終わって見ると、意外に観念しておとなしかったという。ホッ。

 家に帰ってからもしばらくおびえて、いじけて何処かに隠れて出てこないかと思ったら、40分くらい隠れて様子を見ていたが、すぐに甘え出して、これもホッ! よかった!その晩は、獣医さんで本当に心細かったのだろう、一晩中寝ている私の首の周りを離れず、お蔭で寝不足になってしまった。

 それに最近は、SORAも嫉妬をするようになり、あんずが甘えて私の膝に寄り添っていると、いきなり走ってきて、「パチン」とあんずの頭を叩く。それを何度も繰り返すから、仕舞いにはあんずも怒り出し、私の膝は戦場と化す。
 一晩SORAが入院した夜、我が家は、なんだか年寄りばかりで、静かで妙に寂しかった。

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