お客様の声・風の声 2006年9月
2006/09/28 月命日は城ヶ島に
2006年9月28日
月命日は城ヶ島に
Mさんの奥様が亡くなられて1年が経った。去年の合同散骨のとき、Mさんは船に乗らなかった。船に弱かったからだ。
散骨が済み、海図入りの証明書が届いてから、Mさんは毎月、月命日に城ヶ島を訪れ、南西方向の散骨海域を眺め、奥様と対話していた。
今年、一周忌が済んだ9月中旬、合同散骨に同乗し、奥様の眠る場所へ行き、花を手向けた。
思い出の音楽は、「レット・イット・ビー」。焼酎も海へ注ぐ。
この時期珍しく、富士山を始め、伊豆半島、大島などもくっきりと見え、相模湾は水も空気も澄んでいた。10メートル近い風が吹き、波もやや高い日で、船は、上下しながら走っていた。
船酔いした人が出たが、Mさんではなかった。この日のために、1年間船に乗る練習をしたのだと言う。例えば、お堀のボートを漕ぎ、揺らしたりして。
男の人は寡黙な方が多く、辛くても口に出したりしない。Mさんもこの1年、じっと耐え、毎月奥様にだけ話しかけていたのかもしれない。
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