お客様の声・風の声
2017年4月

2017/04/17 シンクロニシティー (12) 沢木耕太郎「春に散る」を読んで
2017/04/10 シンクロニシティー (11) 沢木耕太郎「春に散る」を読んで
2017/04/09 憧れの方の散骨
2017/04/08 シンクロニシティー (10) 沢木耕太郎「春に散る」を読んで
2017/04/02 シンクロニシティー⑨ 沢木耕太郎「春に散る」を読んで
2017/04/01 シンクロニシティー⑧ 沢木耕太郎「春に散る」を読んで

2017年4月17日

シンクロニシティー (12)
沢木耕太郎「春に散る」を読んで

小説の主人公のカレーへのこだわりは深い。
調理するシーンを読み返した。
彼の仲間たちは毎週末のそれを楽しみにしている。

私(船長)もカレーにはこだわりがある。
主人公の作り方にも通じるものが有る。
市販のカレールー(ジャワカレー辛口)を使うが
隠し味に秘密がある。
リンゴ、醤油、みそ、はちみつ、チョコレート
ケチャップ、ウースターソース、まだある。
作ったその日も食べるが
翌日も、翌々日もうまみが増す。
残っていれば、冷凍にしてひと月後でも食べる。

初めて妻が長期入院した時は
アラジンのブルーフレームのストーブで
大鍋にポトフを仕込み毎日食べ続け
ポトフに飽きると、カレーにした。
寒い季節の鍋料理の残りもカレーにする。
残った味噌汁もカレーにする。

外食でメニューに悩むと
カレーが有ればそれにする。
大抵はガッカリする味である。

私にとって最高のカレーは
神田神保町の「共栄堂」のポークカレーである。
「肉無し、ご飯少なめで」お願いしますと我儘をいう。
数年前からは、黙っていても其れが出る。
小豆島に移住してからは何度も送っていただいた。
私の機嫌が悪いと、妻は「共栄堂へいく?」と言う。
猿楽町の事務所から10分もかからない距離である。

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2017年4月10日

シンクロニシティー (11)
沢木耕太郎「春に散る」を読んで

昨日は私(船長)の誕生日でした。
妻からは丸善のバーゲンコーナー見つけた
「THE ART OF THE MAP」
歴史的古地図を扱った豪華本をプレゼントしてもらった。
妹からは桜鯛の尾頭付き、ブーケが添えられていた。
友人たちからの電話、末の妹と姪からはメールが届いた。
住まいのビルから引っ越す編集者の方から
十人も座れそうな大きなテーブルを頂いた。
とても重く狭い部屋に入れるのも大変だったが
妻と格闘して何とか納まった。
これも最高のバースデイ・プレゼントになった。

小説にも楡の大きなテーブルが登場する。
そのテーブルにかつてのボクサー等が集まり食事をし
コーヒーを楽しみ、其々の人生を語り合う。

我が家の大テーブルには猫の「象さん」が
自らの定位置とばかりにもう寛いでいる。
私たちも猫たちに負けずに食事をしたり、読書をしたり
持ち帰った仕事を片付けたり
妻はここで趣味のクラフトワークを楽しんだり
ライフワークの原稿を書いたりするだろう。
帰宅する楽しみが増えた。

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2017年4月9日

憧れの方の散骨

文通をしていたフサさんから返事が来なくなったのは、亡くなる1年半ほど前からだろうか。そのたびに何時も心配で、施設に電話をしてみようか、などと思っていた。でも、その高級老人ホームでは、プライバシーもあり、私のような縁もゆかりも無い者など相手にしてくれないのではないかと思っていた。   今から、15年ほど前になるだろうか、弊社に散骨の依頼があった。旦那様が亡くなり、その遺骨が家にあるが、自分が死んだら一緒に散骨して欲しいというものだった。何度か電話でお話しているうちに、フランス文学者だということが分かり、とても親しみを覚え、個人的に手紙を出すようになった。誕生日も私と1日違いということも何かとても嬉しかった。   私たち夫婦は、若い頃、フランス語を習っていたが、結婚後の貧しい生活にすっかり、挫折してしまっていた。それでも私は、フランス文学が一番好きで、古くは、モリエール、ラシーヌに始まり、スタンダール、ユーゴー、カミユー、サルトル、デユラス、サガン、それに何より、ジロドウ、アヌイに傾倒していた。コメディフランセーズに入りたいと思いフランス語を始めたのだ。   二宮フサさんは、東京女子大学の名誉教授で、旦那様も東大の名誉教授であった。2人共戦後第1回フランス政府給費留学生だった。フサさんはいつも自筆で必ず返事をくれ、私たちの「真夏の水の上のコンサート」にも寄付を下さった。そして図々しくそのお宅を訪ねると、部屋中が金文字の古いフランス語の本で一杯だった。彼女は、中世フランス文学を研究してらして、有名な「家なき子」や「家なき娘」なども翻訳していらした。そして、その頃「ロマンカリブリス物語」という、子ども向きの本を訳していらして、帆船の操船描写について、主人にあれこれと質問をなさっていた。   機会があれば、もっともっとお訪ねして、いろいろな話をお聴きしたかったが、高齢で疲れるので、人と会うのも避けていらしたようだ。80歳を過ぎてもルイ14世の正妻の話など、上下2巻の長いものなど訳されていて、私のところにもその本が送られて来た。しかし、80代後半に入り、怪我から病気を患い、周りの方の勧めもあり、自宅から徒歩5分程の所の老人ホームに入ることになり、体調の良い時は、自宅に戻り仕事をなさっていた。   弊社に訃報が入り、散骨の話が始まったのは、3月の初旬の頃だった。昨年のクリスマスカードの返事もなく、心配していて、今度こそダメ元で電話をしようかしらと思っていた矢先だった。フサさんのご遺骨はとても少なく、稀に見るほど軽かった。   私は、闘病中で出席できなかったが、後輩や友達に見送られ、晴れた清々しい日に色とりどりのバラの花と彼女の思い出の地、葉山の沖に還された。旦那様のご遺骨と共に。

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2017年4月8日

シンクロニシティー (10)
沢木耕太郎「春に散る」を読んで

「喧嘩」と「格闘技」
小説の舞台の一つはボクシングジムである。
主人公は或る時挫折し、喧嘩を仕掛け完敗する。
それがボクシングの練習生になるきっかけとなる。

私の世代は喧嘩好きが多かった。
少年時代の喧嘩は正義感やある種の美学を育んだ。
鈴木清順の映画「かんかえれじい」には
愚かなほど純粋で単純なバンカラの気風に共感する。
太宰治の小説「喧嘩次郎兵衛」の喧嘩修行にも
恥ずかしくもユーモラスな中に真摯な思いを感じる。
私は六十代半ばまで空手道場に通っていた。
現実の社会生活と道場内の絶対的封建制のギャップが
気持ちを覚醒させてくれた。
空手の組手はボクシングの試合にも通じる
私の組手は相手の攻撃の中に勝機を見つけだす。
自慢ではないが打たれ強かった。
現代の空手道場では困った乱暴な親爺だったろう。
組手のスタイルには人格が出る。
私は泥臭く、美しい組手は出来なかったが
品格ある組手を渇望していた。

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2017年4月2日

シンクロニシティー⑨
沢木耕太郎「春に散る」を読んで

小説の冒頭、主人公はタクシーでマイアミからキーウエストを目指す。
キーウエストの南端の灯台で
見えないキューバを見つめる老夫婦とすれ違う。

1992年5月、私たちは猫の「グリ」とキューバ沖から
キーウエストを目指した。
日本のヨットはキューバ入国を許されていたが
キューバに帰港したヨットの米国入国は許されなかった。
NYを目指していた我々はキューバのシルエットを見ただけだった。
ヨットがキューバに最接近した時
米海軍のPー3C対潜哨戒機が低空でマストをかすめた。
翌日、ドライ・トートゥガス要塞の泊地に投錨した。
珊瑚礁の海に煉瓦造りの美しい要塞である。
此処は米国の国立公園である。
水上飛行機や観光船が人々を運んできていた。
一日の上陸者数を制限していたので、静かに堪能できた。
更に丸一日のセーリングでキーウエストに入港した。
入国審査官はテーブルにPー3Cが撮影した
我々のヨットのプリントを並べた。
標準的な航行時間であると言われ船内の捜索はされなかった。
ソ連の潜水艦狩りのPー3Cは麻薬密輸対策に運用されている。

キーウエストのヘミングウェイの館の猫たちは痩せて不健康だったし
バー・スローピージョーには期待していた輝きは無かった。
キューバのフィンカ・ビヒアはどうなっているのだろうか?

オバマ大統領はキューバとの国交正常化を求めたが
トランプの政策は逆行し始めている。

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2017年4月1日

シンクロニシティー⑧
沢木耕太郎「春に散る」を読んで

主人公のアパートに猫が現れる。

私たちは今までに百匹を超える猫を飼って来た。
小説の猫は、「捨て猫」か「野良猫」につい拘ってしまう。
散骨をしたゴールデン街のバーのママも猫好きだった。
百匹の中で最高に素敵な猫の一匹が猫エイズになった時
当時住んで居た立川のアメリカ村の広い芝生に友人たちが集まり
その猫「パコ(PACO)」の生前葬をした。
四谷荒木町やゴールデン街の飲み仲間が20人ほど駆けつけてくれた。
バーのママも来てくれた。
捨て猫は比較的早く捨てられたダメージから立ち直り
新しい生活環境になれるが生粋の野良ネコは難しい。

今は、百匹のベスト3に入る一匹、横須賀の駐車場で拾った「トニー・ディノッゾ(象さん)」と
雨の松輪海岸で拾った「時雨」、快晴の朝、金田漁港で拾った「SORA」が
私たちの同居人?である。
SORAは生粋の野良猫で慣れるのが大変だった。
今も妻しか信用していない。

沢木耕太郎が猫を書くのも以外だった。

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