葬儀や散骨を巡る旅

変わってきた日本の葬儀事情や散骨の思い出も含め、連載で少しずつ紹介していきます。

葬儀いろいろ 1 / 映画『アイリッシュマン』を観て

映画「アイリッシュマン」

一昨日、渋谷まで映画を観に行った。十数年ぶりの渋谷の混雑は、テレビで見る以上に凄かった。急いでそこを抜け出し、ミニシアターに向かう。マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演、アル・パチーノ他豪華脇役の「アイリッシュマン」が目的である。3時間半という長さのせいか、ファンの多いビッグ3の名前があり、日経でも大きく取り上げられていたのにまるでマイナー扱い。それでも100足らずの客席は満席である。
アイルランド系、イタリア系移民の労働者、アメリカ最大の労働組合にマフィアが絡み、ケネディ暗殺などの歴史的背景と合わせ、実在したであろう物語が展開していく。当然葬儀、埋葬の場面もある。

フランクの生前準備

映画の中では、たくさんの暗殺や爆破でたくさんの人が死ぬ。仕事とあれば、クールに人を殺す主人公フランク(R・デ・ニーロ)も年を取り、自分の最後を考えるようになる。
まず、棺桶屋に行き、棺の中のキャデラックと呼ばれるスチールの高級な物から、ベニヤの安物まで、いろいろ並べられている。フランクは、やや高級な7500ドルの緑の棺を6000ドルに値切り、現金で払い持ち帰る。
次に墓だ。彼は土の中に入りたくない。それでモーソリウムと呼ばれる壁式墓地の上段を買う。これは、壁いっぱいにコインロッカーのように扉があり、中は、棺が悠に収まる長さと高さがある。扉には個人名と花を飾る入れ物が付いている。

アメリカの葬儀

アメリカでは、地域によって埋葬方法もかなり変わるが、まだまだ土葬が多い。また、銃社会や戦争にも行くるアメリカでは、若いうちから「死」に対する意識が日本より高く、遺書を書いておくことは勿論、あらかじめ好みの棺を買って置く人も少なくない。棺のバーゲンセールがあるほどだ。
お墓も日本と違い、不動産のように売買出来るので、投機のためにいくつも持っている人がいる。

アメリカの葬儀を巡る旅

私たちはこの仕事を始める前、小学館からアメリカの葬儀事情を調べて本にするという企画を受けた。それは興味深く、西海岸から、東海岸、南部と全米を廻り、たくさんの面白い話を聞いた。日本でも散骨ということが、言われ始めた頃の事だが、変わってきた日本の葬儀事情や散骨の思い出も含め、これから少しずつ紹介して行きたいと思う。

(2019/12/21)