葬儀や散骨を巡る旅

変わってきた日本の葬儀事情や散骨の思い出も含め、連載で少しずつ紹介していきます。

ペットの行く末 1 / 仔猫が欲しい

仔猫が欲しい

50年付き合っている、登山の先輩から今年も年賀状が届いた。
「昨年の台風で、親にはぐれた仔猫をひろい、うちの子になりました。山里に住んで、10年になります。」
先輩は、私が谷川岳で転落したおり、自分の体重より重い私を背負って下山してくれた。元体操選手で、岩登りのセンスは抜群だった。
彼らは小笠原の父島で結婚式を挙げ、島の住人になり四十年以上住み続けウインドサーフィンや、大物釣りを楽しんでいた。
一人息子の独立を機に、奥さんの実家、埼玉の山里に移り住んだ。広い庭の先に、小川が流れていた。
テレビで仔猫の映像を見るにつけ、その可愛さに又仔猫が欲しいと思っていた私には衝撃のニュースだった。

私たちと猫

私たちは散骨を始める前、立川の米軍ハウスでグラフィックデザイン会社をしていた。
猫を沢山飼っていた。妻はお腹を空かせた動物をほっておけない。我が家の前が猫捨て場のようになっていた。
常に30匹くらいは居たし、かれこれ150匹以上は係わりを持っただろう。私(船長)自身、猫の出産に立ち会い、臍の緒の処理をしたこともある。
徹夜の続く、多忙な職場で働く従業員たちも、猫たちに癒されていた。うるんだ仔猫の目には、こころ奪われた。

ペットの長寿

1947年生まれの、私の余命を考えると仔猫の責任はとれないだろう。近頃の猫の寿命は20年を超えることもあるという。
妻は、私の先輩は長生きするから大丈夫だろうと言う。いわゆる「長生きするよ!」とはニュアンスが違う。
彼らの生き方は、常に飄々と物事に囚われること無く。奥さんは先輩よりずっと若く、いつも溌剌としている。
今いる猫は、18歳の雌、若くて太った船長の相棒の雄は7歳。あと13年面倒みるとして、私は85歳まで現役で働かなければならない。
長い前置きから、本題に入ろう。
散骨の相談に乗っていると、相談者の死後のペットの行く末について、語り合うことも多い。今年のテーマの一つに、他人事ではない此の問題を深めて考えていきたい。
(つづく)

(2020/01/05)