カウンセラーの手記

感動したニュース

近頃のニュースは、ほとんどが新型コロナウィルス関連で、先が見えず疑心暗鬼になっている人が多いようだ。その中で昨日、勝浦のホテルから帰宅される方のインタビューで、勝浦の人々の活動に本当に励まされたという話を聞き、久々に良いニュースだと心温まった。
また、今朝のニュースでは、遺品整理の仕事をしている小島美羽さんが取り上げられていて、その話に非常に感動してしまった。彼女は孤独死について知って貰おうと、自分が関わった部屋の状態をミニチュアで作り再現している。たくさんのゴミが部屋中蔽っている物、糞尿で汚れた布団、壁に書かれた遺書のような落書き、どれも見事にリアルに現場が再現されている。
私は、ここまで素晴らしい葬儀関係者に会った事がない。普通に真面目に仕事をしている人はいる。大学の心理学科を卒業して、お客様に寄り添おうとしている若い葬儀ディレクターもいる。しかし、そうではない人も多いのが、この業界の実情だと見ている。相変わらず一仕事終えれば、濃厚サービスのお姉さんが居る店で、派手に遊ぶ人も少なくないのだ。会社のモットーと言い、テレビのコマーシャルのように美辞麗句を並べても上辺だけの人が多い。
私の知っている葬儀社など、専務と会長にお会いしたが、あまりの事に気が転倒しそうだった。その会社には日頃から贔屓にされ、信頼されていただけに、私はうちの会社の信条を理解されていたからだろうと、その会社を買っていた。そう思い私は、如何に私たちがお客様の立場になり、その心に寄り添い、故人の方らしい散骨を志しているかを彼らの前で30分近く滔々と述べてしまったことがあるのだ。
その後、彼らは何も言わず、時間を無駄にしたとばかりに帰っていった。その時、私は彼らが何を思っていたかは気づかなかった。後日彼らを訪ね、彼らの話を聞き、びっくりしたのだ。お客様の所では、なるべく早く話を切り上げ、相手の話、要望など聞かないこと。そんなことしていたら、時間ばかり取られ、手間が掛かりやってられない。なるべく効率よく仕事をする事、売り上げを上げることが全てという感じだった。採算度外視の赤字会社など軽蔑の対象でしか無かったのだ。
今の世の中、勝者がはびこり格差が広がる社会、3Kの様な底辺労働、普通の地道に働く人の中にこそ、本当に輝く人がいる。孤独死をした名も無い人の存在を世間に訴える小島美羽さんに心打たれた。

(2020/02/13)