葬儀や散骨を巡る旅

変わってきた日本の葬儀事情や散骨の思い出も含め、連載で少しずつ紹介していきます。

葬儀いろいろ 4 / アメリカの葬儀

日本の葬儀とアメリカの葬儀

最近は、日本の葬儀も選択肢が増え、アメリカ的な方法も部分的に行われているが、大きな違いは、「葬儀ディレクター」である。アメリカには葬儀大学があり、州や国の試験があるのだ。日本でも葬儀専門スクールのような学校ができて、厚生労働省の認可資格はできた。しかし、内容はあまりにも違い過ぎる。日本では、その技術的なことが中心で、祭壇や幕張りがどれ位でできるかとか、司会の方法とか、儀式に関することがほとんどである。

しかし、アメリカの場合は、遺族に対する接し方やカウンセリングが中心である。カリキュラムも埋葬の歴史、文学、法律は勿論、経営の仕方、エンバーミング(防腐処理)、遺体復元処理と死に化粧等細かい作業を入れると数百にも及ぶ学習をし、2年で終了後実際の葬儀社で1年働き、再び大学で2年学び、州の試験を受ける。さらに全米で働くには国家資格もいる。だから、葬儀ディレクターは、尊敬される仕事のベスト10にも入っていた。実際、医者になることを諦めてなった人もいる。「生きている人は救え無いこともあるが、その後のケアはできる」。

一般的なアメリカの葬儀

アメリカは広大な面積の国で、家族や親せきは外国などに離れて暮らしている人も多い。飛行機や車などで長距離を来るから、1日などの短期間に済ますことが難しい。それもあり、ほとんどの遺体にエンバーミングを施し、葬儀社等の小さな個室を借り、お花やその人らしい飾りつけをし、棺を真ん中に置く。そこへは24時間入ることができ、個々にお別れをする。それをビューイングと呼び、家で行われることもある。

フロリダ州のペンサコーラには、ドライブスルーのビューイング場もあった。車で大きなショーウィンドのようなガラス窓から見てお別れをするのだ。エンバーミングを施された遺体は、生前よりも生き生きとし、蝋人形のように美しい。土葬ための棺は、何千ドルもする立派な物で、遺族の悲しみを和らげるように居心地良さそうで、その中で死者は安らかに眠っている。尚、火葬の場合、外側だけが立派で、内側は簡単に段ボールで作られた棺のレンタルもある。

宗教と埋葬

アメリカでは、交通事故、戦争、殺人等かなり損傷した遺体が多くある。そのために死者の復元処理は欠かせない。傷ついた顔や体を元気な頃の写真を元に、針金や粘土で制作し型抜きをした樹脂を必要部分につける。そして全体が完成すると、ハリウッド流のエアーブラシ等を使い化粧を施す。死者は、顔に赤みが差し、今にも目を覚ましそうになる。

宗教によっては、今も火葬は認められていない。カトリックも1963年にローマ教皇が改正するまではダメだった。今だに火葬なんてしたら復活できないと信じている人もいる。

つづく

(2020/01/12)