葬儀や散骨を巡る旅

変わってきた日本の葬儀事情や散骨の思い出も含め、連載で少しずつ紹介していきます。

02/17:アメリカ村の猫たちとパコの散骨 4 / アメリカ村の子供たち

可愛い双子

同じブロックで、うちから70mほど手前に解体などの仕事をしている4人家族がいた。そこの家には、5歳の双子の男の子がいてとても可愛い。名前は大也君と文土(もんど)君。ダイヤモンドだ。そう付けたご両親の気持ちが良く分かる。男前のご主人、小太りでおおらかな奥さん、子供たちは正に宝なのだ。
うちから村を出るには、その家の前を通るのが普通だ。いつも家の前の道で遊んでいる二人に声を掛けるのは実に楽しかった。まだ舌がよく回らない点もあるが、私たちの事を北田ちゃん、奥ちゃん、時にはなぜかメダちゃんとも呼ばれ、うちの猫たちも彼らに慣れていた。
6歳になって、彼らの小学校の入学式の時はびっくりした。大也君は白、文土君は黒でピエール・カルダンの子供用半ズボンのスーツをピシッと決めていたのだ。その格好良さ、可愛らしさに思わず微笑みなんだか自分の事のように嬉しくなってしまった。

子供たちのサッカー

その頃、「キャプテン翼」だったと思うが、漫画の影響で子供たちの間では、サッカーが流行っていた。大也君と文土君も例外ではなく、隣近所が空き家になり、芝生が広く使えるので、友だちも連れて家の側でサッカーごっこをしていた。その中に真木さんの家の勇人(はやと)君と泰人(たいと)君がいた。
うちの主人は時々、仕事をサボリ彼らに混ざり遊んでいた。主人はまるでガキ大将で、本気で球を蹴り返す。そのうち球は勇人君の顔をかすめ、彼は泣きながらイキがって「キタダって凄いやつだなぁ!」と言った。主人は謝るどころか、「どうだ、参ったか」と言わんばかりにご満悦である。近所のお化け屋敷に行くときも、怖いと半べその彼らを連れて先頭に立って意気込んでいた。
そのうち子供たちから聞いたのか、真木夫人が大きなキャベツを持って、うちに現れた。「子供たちがいつもすみません。」ということで、そのキャベツを頂いた。本当に新鮮な取り立てのキャベツで瑞々しく、葉と葉の間から水滴がこぼれて来た。そしてそのキャベツ、実はこの辺には取り立てキャベツを自転車で売りに来るおじさんがいるのも私は知っていた。

(2020/02/17)