葬儀や散骨を巡る旅

変わってきた日本の葬儀事情や散骨の思い出も含め、連載で少しずつ紹介していきます。

03/13:カリフォルニアを訪ねて / 葬儀大学取材 2

男3人西海岸の旅

私(北田)、周治君、リー君でカレッジの取材に向かった。私と周治君は、主にインタビューを担当し、リー君は教科書等の翻訳にあたってもらった。
リー君はニューヨーク市立大学を卒業し、日本のジャーナリストの助手をして生計を立てている在日韓国人である。彼のグリーンカードの切り替え時期でもあり、本人の希望で、私の東京の事務所から小学館の紹介で、日本雑誌協会の保証を得てフリーランスのジャーナリストビザを取得した。そのことから、私のニューヨーク事務所でもパートタイマーとして働いてもらっていた。リー君は優秀な若者で、NHKや民放の取材スタッフから重宝がられており、ABC放送の資料室やフィルムライブラリーなどへの出入りも許されていた。多忙な彼は、取材資料を抱えてNYへ帰った。

モーテル

周治君と私は、宇宙葬、大学、有名エンバーマー、映画の特殊メークなどの取材資料を抱えてサンフランシスコのモーテルに宿をとり、編集作業に入った。
そこは、がらんとした大きな部屋にクイーンベットが二つ、殺風景な部屋である。
周治君はインタビューのテープから原稿を書き起こす作業、私は撮影したフィルムの整理、彼の翻訳原稿のチェックを担当していた。リー君の手慣れた仕事ぶりに比べ周治君は翻訳作業に苦戦し徹夜の作業もしばしばだ。
徹夜明けの周治君と朝食を済ませ、部屋に帰り彼はすぐに作業に戻った。ベットメーキングの黒人の叔母さんが私にウインクし「素敵なカップルね!」と妙な事を口走り、そそくさと次の部屋へ消えた。どうもゲイのカップルに勘違いされたようだ。徹夜した周治君のベッドは、皺ひとつ無く、寝相の悪い私のベットシーツは大波にもまれたように、半分はベッドから垂れ下がっていた。あのウインクの意味がよく分かった。周治君はキョトンとしていた。翌朝、例の叔母さんが現れ、チップを渡すと徹夜明けの周治君のベッドを見つめ「半分でいいのに!」と、朗らかに笑った。
さて、次からまた取材資料の本題に入ろう。

(2020/03/13)