癌ステージⅣを5年生きて 35

散骨の風ディレクター KYOKO

突然ですが、墓じまいの話です

最近、あるお客さんから墓じまいに関する相談を受けていた。10年以上前に、「風」でお母様とお姉様のご遺骨を散骨なさった方で、お父様が亡くなり、墓じまいを考えていらした。彼女のお寺は、真言宗でお墓には10柱位は入っているのではないかと言う。彼女がお寺に電話で相談すると、ご住職の奥様が出られて、離檀料は1柱35万円だと言う。散骨をした人も戒名が付いているので人数に入っている。そのほかに何年分かの供養代も20万円請求されたと言う。石屋さんも出入りの業者でなければ困るし、勝手なことはさせないと。私たちはいろいろと調べたが、一般的には、感謝の気持ちで5万円位お布施をすれば良いと言う話だし、月々の供養代も年に1万円も払えば良いはずだった。

素晴らしい結末

どうしても埒が開きそうもないので、提訴するということになった。ところが今日お寺に電話をすると、ご住職が出られて、離檀の話をすると、「そんな話は聞いていない」と言う。そして「ご遺骨は、お墓から出して良いですよ、石屋さんにも安くするように言ってあげる」。と言ってくれたそうだ。彼女は喜んで、すぐに私に電話をして来た。私も想像もしていなかった展開にびっくりし、嬉しくなった。こんなに物わかりのいいご住職だったなんて、私は真言宗の総本山に電話をしても相手にされなかったので困ってはいた。

日頃、お坊さんには良いイメージが抱けなくなっていたので、本来のあるべき姿のご住職にいたく感激した。

お墓とお寺

最近は結婚しない人や一人暮らしの人など、後継者のいない墓の墓じまいの話が多い。しかし日本だけではなく、世界的に見ても圧倒的にお墓を支持する人は多く、散骨は基本的に少数派だ。アメリカ中を廻り、いろいろな霊園を調べて見て来たが、お墓にはお墓のロマンも有り、良さもある。しかし、ほとんどのお墓は宗教と関係が深い。宗教に関係ない霊園も有り、それは気楽だが入るにもかなりのお金が掛かる。お寺はお寺で、寺離れの時代になってきて経営が苦しいのも解る。お寺の維持はお金が掛かるものだ。裕福な方は自分のお寺に積極的に寄付をすべきだと思う。

檀家制度

さて、お寺の檀家になって居る場合だが、お寺によっては、高額の離檀料を請求される。私の場合もそうで、前にも書いたことが有るが、母の遺骨を散骨した場所に父のも散骨をしたくて、お寺に相談したところ、何百万円と言うお金を請求された。全部で500万円以上だったと思う。すべての遺骨の魂を抜くお経代等と石を撤去して更地にする費用だそうだ。払えない私は、当然ご住職と対立し、喧嘩になった。その結果、「勝手にしろ」と言われて、勝手にした。石屋さんを呼んで、父の骨を出した。以降実家の墓は無縁墓となり、お寺が管理する所のものとなった。祖先には申し訳ない事をしたと言うべきなのかも知れないが、無神論者で有る私は、最初から浄土真宗の門徒の資格さえないのだ。父も散骨など考えられない時代でお墓に入ったので、山や海を愛し、母を愛した父は喜んでいると思う。

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