癌ステージⅣを5年生きて 63

散骨の風ディレクター KYOKO

猫の種類

私は長毛種の猫もブランド猫も飼った事がない。この何十年かで猫の種類は何とたくさん増えた事だろう。名前を知らない種類の猫がほとんどだ。でも犬に比べると流行り廃りが少ないように思う。みなそれぞれ自分の個性に合わせて飼っているのだろう。それに比べ、犬の流行り廃りは、凄まじい。今は日本犬に人気があるようだが、一時流行(はや)ったチャウチャウや、シベリアンハスキーなどはどこに行ってしまったのだろう。

我が家では、カナダで貰ったグリが雑種ながらグレー一色、ロシアンブルーみたいでカッコ良かった。私は雑種が好きである。純粋種よりも強く、健康だと思う。時々、ホームセンターのペット売り場で、可愛い子猫が売られている。可愛くて笑みが出るが、この子の運命は如何にと、早く売れれば良いが。猫にも出会いがある。飼えばどの猫でもみな可愛い。

猫の香り

意外と知られていないのは、猫の香りだ。オシッコやウンチの臭いは顰蹙(ひんしゅく)だが、嫌な臭いを全部出してしまうせいか、どの猫もみんないい香りがする。猫は自分で自分の体を舐めて綺麗にするから、その毛皮に鼻を突っ込んで鼻を擦り付ける。そして滅茶苦茶に撫でる。するとその毛並みの柔らかさと体の温かさにハーブよりも良い香りが漂う。顔を付けなければ感じられない微かな香りだ。元々と麝香(じゃこう)猫から香水が作られているので、ネコ科の動物はいい香りなのだろうか、ライオンの赤ちゃんはいいかも知れない。サファリパークで抱っこした時、嗅げばよかった。その反対に、犬はその匂いで辟易とする。犬も好きなのだが、匂いだけは困る。

SORAの香り

うちで一番良い香りはSORA(キジトラの雌19歳)だ。もうおばあさんなのに赤ちゃんのような甘い香りがする。SORAは舐め魔で、自分の体を嘗め尽くす。特に前足は酷い。毛が無くなり、肉が出て血が出ても止めない。それで包帯を巻いていたが、あまりぴったり巻いていると毛が生えて来ないので仕方なく、両袖がたっぷりとした幼稚園の上っ張りのような服を作った。コットンのオレンジの花柄プリントでとても可愛い。一度洗ってあるので、舐めても大丈夫。前には、既製品の犬の服に袖を付けて着せていたが、動いているうちにずれて足が一か所に纏まってしまったりした。エリザベスカラーも買ったが可哀そうで直ぐやめた。今は服の隙間の首や服の上からも臭いを嗅いで癒されている。意外に本人も服を着るのを嫌がらない。

ゾウさんの香り

ゾウさん(茶トラのデブ雄8歳)は、乾草のような香りで、これもなかなか良い。ベランダの枯草の上で寝ているからだと思うので、体を温かいタオルで拭いてから、背中に顔を埋める。最近、私がPCの前にいる事が多いので、いつも事務所の前の廊下で仕事が終わるのを待っている。時々泣くので、部屋に入れてあげると、しばらくウロウロし、足元に座るが、相手をしてあげないとまた廊下に行き、そこで待っている。ベッドに行けばSORAが待っていて私を独占するので、その前にゾウさんをクチャクチャにして可愛がる。昨日私は、リビングから、事務所にいる夫に「ねーえ」と呼びかけたが聞こえない。するとゾウさんが返事をした「なぁー」。「ゾウさんじゃないよ」と言うと「にゃぁ」(あっそう)と小さくなく。ゾウさんは私思いでいつも可愛い。

時雨ちゃんの香り

時雨ちゃん(三毛の雌18歳)はお煎餅のような匂いだが、痩せていて、あまり抱いて臭いを嗅ぎたいという感じではない。本人は、私の膝が空いていれば直ぐに飛び乗って来るが、抱かれるのは好きではない。爪も出すし、落ち着かないが居座る。食事中は特に乗って来て、長い尻尾を口の前でフリフリする。「食事中は止めて」と下ろしてもすぐに乗って来る。人の気持ちなどお構いなしだ。でも、最近時雨ちゃんは、いつもリビングにいる。他の猫は皆、私のベッドにいる。時雨ちゃんは、リビングに居れば、ここで1匹で飼われているような気分になるのだ。いつでもどこでも遠慮せず場所を取る。最近はソファーで横になっている夫の横腹に乗るのが好きだ。シグちゃんは甘えの押し売りで、それもいじらしく可哀そうなのだが、ここの所は、夫の隣で寝ることを覚えたらしい。朝帰りで私のベッドに来る。時雨ちゃんは1匹で飼われていたら良い猫だったろう。

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