癌ステージⅣを5年生きて 78

散骨の風ディレクター KYOKO

SORA獣医さんに行く

今日、SORAを獣医さんに連れって行った。オシッコが急に出なくなり、一生懸命出そうとして、トイレで頑張っていたからだ。前に膀胱炎になった事があり、やはり膀胱炎を疑った。19歳と言う高齢だから、腎臓病もあるだろう。食欲はある、でもオシッコが出ないので、いきんで泣いている。

私は、すぐ獣医さんに行く支度をした。丁度夕食前だった。ケージに入る時、久しぶりだからSORAは思ったより暴れた。どの猫も獣医さんに行くのを非常に嫌がる。かなりぐったりとしていれば、危ないだけに大人しい。SORAはこの世の終わりの様にケージの中で泣いた。でも、SORAはわりと諦めが早く、途中から泣かなくなる。

最近は、家の辺りにも獣医さんが増えた。しかし、家からは遠いいが、20年来お世話になっている三崎のクリニックまで行く。幸い道も病院も空いていて、すぐに先生に看て貰えた。エコーで見ると膀胱が空っぽで、硬くなっているという。空っぽなのにしようとするのは、残尿感が残っているからだ。SORAは注射をされ、点滴をされた。助手の人に抑えられてはいたが、大人しかった。ペットの場合も「良く頑張ったね」「偉かったね」等と言ってくれるのは、嬉しいが、可笑しい。でも、私もそう言う。

ノミマニア

この時も、SORAはオレンジの花柄の服を着ていた、脱がそうとすると先生が「そのままでいいです」と言うので、そのまま着せておいた。「服を着せないと舐め過ぎて、ひどい事に成るんです」と言うと「アレルギーでしょう」と言われた。先生は最初にノミを疑ったが、100%違うと私は言った。こう見えて、私はノミの権威だと思っている。別に研究をした訳ではないが、たくさん捨て猫を飼っていたから、ノミに関しては詳しい。ノミが居れば、まず毛の中に黒い糞があるから分かる。ノミ取り櫛でも随分ノミを取ったが、普通は、ちょっと猫を触れば分かる。つい毛の間をまさぐる癖があるし、ノミは比較的大きい。1㎜から5㎜位の大きさで、毛の中での動きは遅い。しかし猫から離れたらぴょんぴょん飛んでしまうので、逃げたら捕まえるのは難しい。そういう場合は、逃げたノミの上に猫を置く。するとノミはまた猫に付く。現金なもので、猫が死ぬと、真っ先にノミが体から離れる。注意しないと部屋中にノミが広がる事になる。その場合、猫にも棺が必要で、蓋は決して家の中で開けぬように。外の場合も、人に付くから袋に入れておくのが良い。スプレー等の殺虫剤では、すぐに効かず飛び跳ねてしまう。

80年代、アメリカ村のガレージを、猫の部屋にしていた時は、ノミの繁殖が凄かった。スタッフがその部屋に入って行くと、みんなノミに足を刺されたものだ。体温に反応するのだ。私はセロテープを持って部屋に行き、進んで囮おとりになった。足に飛び付いたのを、セロテープで挟み潰すのだ。ノミとゴキブリと蚊には容赦ない。猫のノミを取る時は、広口瓶に台所洗剤と水を入れ、櫛に引っ掛かったノミをその溶液に浸す。あっと言う間に50匹位取る。台所洗剤はゴキブリにも効く。直接タップリ掛ければ死んでしまう。ノミは通算何百匹と駆除して詳しくなった。だからSORAがノミアレルギーで無い事は確かだ。暇があれば、ノミの生態などを研究したいと思う。

獣医さん嫌い

治療が終わって家に着いた。ゾウさんの様子がおかしい。獣医さんの匂いが嫌いで、唸り声をあげて怒っている。SORAはすっかりおびえてベッドの下に潜った。私も臭いが付いているから、やはり唸られる。シグちゃんは傍観しているが、目が軽蔑している。それでなくてもシグちゃんはSORAの天敵だ。

SORAは獣医さんに行ったショックも有り、最初は私の事も恨んでいるのかと思ったが、しばらくして抱き上げるとゴロゴロ言った。注射が効いて、体も大分良くなったらしい。でも、家の中は雰囲気が悪い。ゾウさんはずっと怒っていて、雨なのにベランダに出てなかなか入らない。入ってもご飯を食べるとすぐに出て行ってしまう。結局、その夜はシグちゃんが私の隣に来て、SORAは私のベッドの下、ゾウさんは夫のベッドの下に居て、私のベッドは寂しかった。本当はこんな時くらい、シグちゃんを可愛がってあげたいのだが、癖になって、またSORAをいびるようになると困る。

本当は、もっと頻繁に獣医さんに行き、健康診断などもすればいいのかも知れないが、猫たちにとって獣医さんに行く事ほどストレスはない。だから、命に関わらない病気や、苦しんでいなければ出来るだけ獣医さんに行かない。かえって可哀そうだ。だから昔は、抗生物質の風邪薬や眼軟膏は常備していて、大抵はそれで治した。今も薬だけ貰えれば、猫は連れて行かない。私は専門家ではないが、猫の病気は本で読んでいるので、ある程度分かる。だから、私の診断は殆ど当たる。先生が迷っていれば、私の意見も言う。飼い主の方が、自分の猫についてはプロだ。いつも見守っているのだから。そして、猫は治りやすいとも言われる。傷などは自分で舐めて治すせいもあると思うが、シグちゃんは、危篤から1週間で元気になった。拗すねたり、不貞腐れたり、怒ったりの機嫌とかも、まあすぐ治る。でも、獣医さんのトラウマはどうかな。

今、ゾウさんの機嫌も直りつつある。

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