風の中の私 1

──やっぱり懲りない書く事は──

「ラストサムライ」の死

夏の服装では、寒い日が続き、お盆から悲しい日が続いています。アメリカ海軍の下士官だったアダムが47歳で亡くなったのです。山梨の富士山の見える場所で、オートバイ事故でした。彼も中東への転勤が有ったり、私たちも状況がいろいろと変わっていて、お互いに連絡を絶っていました。

彼とは、12年位前に横須賀のどぶ板通りにある行きつけのアウトドアショップで出逢いました。そこのオーナーが彼を紹介してくれたのです。オーナーのKさんは、義理のご両親を「風」で散骨なさっていたのですが、「北田さん、英語得意だよね」と言われ、夫はずうずうしくも「Of cause!」と答えてしゃべり出します。彼は文法抜きで、彼流に話します。それが意外によく通じ、ヒアリングの感もいいのです。私は、ヒアリングが苦手で、話しても相手の返答が分からないので、ほとんど話しません。

アダムは日本が大好きな好青年で、アメリカ的な粗暴さやふざけた雰囲気の無い、日本語が話せなくても躾のいい日本人と言う感じの人でした。彼は海軍のカメラマンとして勤務しており、夫も自衛隊に居たので2人はすぐに気が合いました。うちのヨットに乗りに来たり、整備を手伝ってくれたり、英語で話を出来る日本人として、悩みなども言っていたそうです。アダムは、映画「ラストサムライ」が好きで、日本に憧れ、日本の女の子と結婚したがっていました。私たちもそれを頭に入れ、丁度いい子が居ないかと思っていると、突然彼女を連れて現れてびっくりしました。なんと電車でナンパしたと言うのです。ナンパされた彼女もびっくりしたでしょう。でも彼の人柄が伝わったのだと思いました。言葉の壁を乗り越え、年の差を気にさせず、障害なく上手くゴールインしたのです。

日本女性として、彼女は最初から理想的だったのでしょう、彼らは子供も2人出来、幸せに暮らしていました。そして、本当に悲劇は突然起こるのですね。彼女から電話を貰った時は、とても信じられず、只々悲しくて、言葉に表しようも有りませんが、彼の日記に「Mr.Kitada is good person!」と書いてありましたと言われ、短い付き合いでしたが、夫も「あいつは良い奴だ」と言っていたなと思いました。こういう時は、「どうして、なんで」と言う気持ちのまま置いていかれてしまいますね。

今日は、ここまでしか書けないので、猫のSORAは元気になったとだけ言っておきます。続きは明日です。

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