癌ステージⅣを5年生きて 98

散骨の風ディレクター KYOKO

手術出来ない肺

4回目の肝臓手術が終わってから、抗がん剤を始めたが、もう私に合う薬は無いに等しく、一応弱く入れていた。しかし、2カ月後には、肺に転移が見つかった。左肺に3か所、右肺に4か所ある。私は肺も手術したかった。しかし、呼吸器外科の北野先生は、肺を切るリスクを言う。「現時点では切れなくは無い。しかし、肺は切った分肺活量が少なくなる。それに切っても直ぐにまた出来るかも知れない。だから3カ月泳がせておこう」と言われた。私は何となく納得出来なかったが、切ってくれないと言うのだから、抗がん剤をしながら3カ月待った。

3か月後CT検査の結果、癌は増殖していた。結論、病院の方針としては、手術しないと言われた。もう、何も治療は出来ないと言う事だ。つまりTHE  ENDだった。だが、私は諦めない。手術をしてくれる病院を探す事にした。セカンドオピニオンを受けるために、診断書を書いてもらい、神奈川県立がんセンターに行った。しかし結果は同じだった。もう、これまでと言う事だ。先生は皆はっきり言わないから、まあ、後1年かなと思った。それはそれでサバサバしていた。最初から癌で死にたかった。1年なら十分片づけられる。したい事をして過ごそう。何か幸せな気分だった。死とは私にとって天国を意味する。

私は癌なのか

そして1年が経った。死は迎えに来なかった。そして今が有り、生存率12%の5年も過ぎた。半年経っても元気で、これを書いている。本当に不思議なのだが、私は体に癌を感じない。痛くもない、苦しくも無い、病気らしくない、どこが癌患者なんだ。変だ。絶対変だ。この5年間、自分が癌だと感じた事がない。何の症状も出ない。とても死にそうな人じゃない。私の癌は眠っているのか。癌と戦っている人には申し訳ないが、痛みと苦痛の無い私は本当に幸運だと思う。

洗濯、洗濯、また洗濯

私は兎に角、今はSORAの具合が心配だ。1進1退、うつ病の薬が効いているのか、量は丁度いいのか、様子を見ながらあの手この手を考える。この10日間、ベッドにオシッコをされ続け、凄い量の洗濯物を捌(さば)いた。男の子の多い家や子供が運動部にいる家は、毎日こんな風だろうと思った。最初の4日位はボロの羽根布団も洗った。シーツやベッドパッドも何回も洗った。羽布布団を止(や)め、タオルケット2枚にしても、そのほかにバスタオル3枚、枕カバー2枚は毎日の量だ。様子を見ながら、ペットシーツを何枚も敷くが、布が無いと嫌がるので、結局、上に掛けるバスタオルや、風呂敷大の布は濡れる。端っこがちょっと掛かっただけでも嫌で、丸ごと洗う。取り替えた傍からすぐされる。私も神経がおかしくなる。オシッコをする前にニャーと鳴く事があるので、その時は急いで抱いてトイレに入れる。自分からトイレに行く事もあるし、間に合わなくて、廊下や床にしてある事もある。ウンチはちゃんとトイレに行くのだが。だから寝る時は、タオルケットの上にペットシーツを並べて貼り、その上に薄手の布を置く。何度もお腹の上にオシッコをされたのだ。夫はケージに入れれば、というが、一緒に寝られなくなるし、閉じ込めるのは可哀想だと思った。

シジフォスの神話

しかし今日、長時間家を空けたらベッドの上もゾウさんのベッドの上もオシッコだらけで、昨日SORAに作ったばかりの上っ張りも濡れて脱いでいた。私は、分からなくなった。「シジフォスの神話」の如く、毎日の仕事が振り出しに戻る。本人は残尿感が有りそうで、オシッコスタイルでしばらくいる。先生に聞くと、膀胱炎が再発したようだ。尿が採れないので細菌性かどうかは分からず、取りあえず痛み止めを飲ます。私も遂にケージに入れる事を考えた。ネットのカタログを見たり、しばらくいろいろと考えた。狭いケージに入れっぱなしにするのか。夜は、ゾウさんとシグちゃんを私の部屋から出してケージから出すか。トイレはペットシーツがいいか、砂がいいか。組み合わせもあれこれ考えた。ケージの利点はシグちゃんのイジメから守れる事。でも、寝たきりになってしまうかも。今もほとんど動かないが、ウンチはトイレに行くし、ご飯も食べに来る。軽く跳ねたり、足取りも良い。SORA用のトイレをベッドの側に作り、オシッコをそこでさせようか、他の子が入らないように蓋をしておこう。でも、私が居ない時は困る。犬用トイレをベッドの隣の棚に置く。あらゆることを想定し考える。この病気は治るのか。もう少し様子を見よう。薬を少し増やしたら「ハイ」になっているようにも見える。お落ち着きが無くなってしまった。 

私だけではお手上げだ。今、セカンドオピニオンを考えた。信頼していた先生だが、新しい評判のいい先生にも聞いて見ようと思う。

前の記事次回に続く