お客様の声(風の日誌)

散骨式などのエピソードを読める「風の日誌」を過去のものから全てを掲載しています。過去のものは右の目次からどうぞ。

2004年12月

2004/12/15 慣習と遺言
2004/12/12 ニューフェイスは「時雨ちゃん」
2004/12/08 富士山とカトレア

2004年12月15日

慣習と遺言

もう1ヶ月が経ってしまったが、Kさんはお元気だろうか。60代で配偶者を亡くされた方の戸惑いは、これから2人でいろいろ出来ると思っていたのに、と言う方が多い。突然、1人にされてしまって・・・・と。

Kさんは、旦那様の遺言どおり散骨をされたのだが、本当にいいのだろうかと、散骨のその日までずっと自問なさっていた。元気なときに散骨してくれと聞いていたが、亡くなる直前には、確かめられなかったからだ。それにKさんの周囲では、散骨などした人はいないし、まだ一般的ではないようだし、周りからどう思われるのだろうか。

結局、彼女は誰にも言わずに1人で散骨に立ち会われることにした。そのうちお墓を買って分骨したものを納骨し、疎遠の息子さんに報告するという。弔問に来る人のために仏壇も用意した。

仏滅と友引の日を除けばいつでもいいということで、11月の晴れて暖かで海が穏やかな日に三崎港から船に乗り、京急城ヶ島ホテルの沖に散骨した。時々ホテルに来て沖の海を見て、旦那様を偲べるからだ。

彼女は船に弱いということで、最短距離になる三崎から乗っていただいたのだが、その日は穏やかで気持ちよく、船上も快適だったので、油壺に寄り、浦賀まで乗って帰られることになった。

城ヶ島沖の海上で、「千の風になって」の音楽をかけ、ご遺骨を海に還したとき、彼女は何度も「お父さん」と呼びかけ涙を流していた。そして「これでいいんですよね」と言い、海に来て、海に還して、そう思うことができたと。

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2004年12月12日

ニューフェイスは「時雨ちゃん」

三浦に来て、4匹目の猫を拾った。雌の三毛猫で、船長が「時雨(シグレ)」と名づけた。

やはり、間口漁港の近くの小浜の藪で2週間ほど前から鳴いていたのだ。小浜は、前に病死した小太朗を見つけた場所である。その同じ場所で、人を見ると大きな声で鳴いていたのだ。初めて見たときは、子猫に見え、早く捕まえないとこの寒さで死んでしまうのでは、と心配したが、よく見ると意外に大きい。

犬の散歩がてら様子を見、餌を運んだ。私たちを認識すると、大きな声で鳴きながらやって来る。そして一口ごはんをくわえては、さっと逃げる。2,3回それを繰り返し、安全だと分かるとやっと落ち着いて食べだす。だが、やはり警戒心がかなり強い。手を伸ばし触ろうとすると逃げそうになる。

しばらく信頼されるまで保護するのは、待つことにした。あわてて捕まえようとして失敗すると余計警戒されてしまうからだ。できれば、うちもこれ以上我が家の動物を増やしたくはない。でも、野良の雌猫の未来は見えている。また、不幸な子猫たちを見たくは無いのだ。避妊手術だけでもしたいが、捕獲すれば、この寒空に放すことは可哀想でできない。

朝夕、ご飯と水を運び、少しずつ慣れて来たようだった。藪の奥には、縄文人が住んでいたと言われる海岸洞窟がある。南側に入り口があり、北風をよけられるので、そこに住んでいるのだと思い、大雨や風の強い日も少しは安心だったが、なるべく早く、本格的な寒さの来る前に、そして子供を産まないうちにと考えていた。

そして、土曜日、雨が上がり、暖かい穏やかな日になった。私たちが行き、舌を鳴らして、合図をすると、崖の上の方から鳴きながら降りてくる。最近は、洞窟とは反対の崖の上の方から来ることが多かった。南向きの斜面が暖かいのかもしれない。その日は、いつもの藪より、手前の岩の上にごはんを置いてみた。最初は、やはり、くわえて逃げ、警戒したが、その後落ち着いて食べだし、大方食べると、頭を触らせたり、寄ってきたり、すっかり気を許している。

岩の上で、ゴロンとしたり、犬たちも怖がらない。これは、チャンスだと思い、船長に、犬を置いて、車でケージを持ってきてもらうことにした。

彼が来るまで、すっかり馴れて、暖かい陽射しの中、のんびりしていたが、車が来て、彼が近づいて来ると、また藪に入ってしまった。仕方ない、そのまま出てくるのを待つ。彼女は、人を見て鳴くし、寄って来るから、もともと野良ではない、飼われていて最近捨てられたのだ。だからあわてずに待っていれば、捕まえられるはずだった。それでも、爪も歯も鋭く、かなり用心して、油断できない。そして捕まえたら、何があっても絶対に離さず、ケージに入れる。

10分くらい待っただろうか、私は痺れを切らし、藪に近づいた。そして手を伸ばし、軽く頭を撫で、次の瞬間首を掴み抱えて、側に用意したケージに入れた。

しばらく鳴いたが、思ったほどは暴れなかった。彼女は、暖かい寝床と食事とトイレを用意したお風呂場で一晩過ごし、次の日、皆(他の猫たち)と対面した。最初は、仲間はずれで冷たくされるだろうが、すぐに馴染むだろう。

冷たい風が吹き、雨も降った今日、お腹一杯食べ、暖かな寝床があるのは幸せ、私もうれしい。

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2004年12月8日

富士山とカトレア

今年の勤労感謝の日、11月23日は素晴らしいお天気に恵まれた。この日の前1週間位も好天が続いていたので、いつ崩れるか心配ではあったが、絶好の「散骨日和」に恵まれ本当にラッキーだった。

いつの散骨でもお天気は気になり、当日までかなり精神的に負担なのだが、遠方へ出張したり、ご家族の方や親戚の方が遠くからいらっしゃる場合は尚更、当日まで気が休まらない。

23日は、駿河湾清水港からの出港で、人数も18人と多い。そしてレストランも予約を入れてあり、何よりご依頼の花が特注のカトレアとカサブランカである。

カサブランカの依頼は前にもあったが、1つの茎につく5,6個の花を満開の状態で当日用意するのは、かなり大変だ。カトレアも高価で普通にはなかなか売っていないので、1週間以上前から予約を入れる。海が荒れたら、花を無駄にすることになる。

今回の依頼主Tさんのお父様に対する思いが、ご依頼の内容からも伝わってきて、何とか彼女の描いている海洋葬に近づけたいと思っていた。宝石関係のお仕事をなさっていたお父様にカトレアは、正に花の宝石といってもいい華麗でゴージャスな花がピッタリなのだと思った。カサブランカも高貴で華やかである。

太宰治は、富士山に月見草と言ったが、23日、日本晴れで最高の姿を見せてくれた富士山は、やはり王者の風格、それに比するは洋風ではあっても、優雅さで引けをとらないカトレア、そしてカサブランカがよく似合っていた。

そして今回のリクエスト曲リストの「ラ・カンパネラ」、これもフジコ・ヘミングの演奏でお掛けしたのだが、本当に心を癒される演奏である。ピアノも弾く人によってこんなにも違うものかといつも感じ入るのだが、人柄が滲みでるのだと思うが、音色が心地よくとても優しい。

小春日和、穏やかな海、雄大な富士山、水面の華麗な花々、和やかな人々。そしておまけには、帰り道、お父様と同じ名前の船とすれ違い、一同で盛り上がるといったことまであった。

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